牛乳とは

牛乳の大部分は水である1。

全乳100 gあたりの含有量は、水分88.1 g、糖の一種である乳糖4.81 g、蛋白質3.27 g、脂質3.20 g、カルシウム123 mgである1。

体内で起こること

小腸の酵素ラクターゼは、乳糖をガラクトースとグルコースという2つの糖に分解する2。

乳糖の消化とルロワール経路小腸上皮細胞の刷子縁、次いで主に肝細胞の細胞質ゾル
  1. 乳糖
  2. ラクターゼ-フロリジン加水分解酵素(LCT)H2O小腸上皮細胞の頂端膜で起こる。D-グルコースも生じる
  3. β-D-ガラクトース
  4. ガラクトースムタロターゼ(GALM)SGLT1(SLC5A1)による取り込みとGLUT2(SLC2A2)による排出の後
  5. α-D-ガラクトース
  6. ガラクトキナーゼ(GALK1)ATPガラクトース異化の最初の決定段階
  7. α-D-ガラクトース1-リン酸
  8. ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT)UDP-グルコースUDP-ガラクトースを放出する。UDP-グルコース4-エピメラーゼ(GALE)がUDP-グルコースを再生する
  9. α-D-グルコース1-リン酸
  10. ホスホグルコムターゼ1(PGM1)グルコース1,6-ビスリン酸を経由する。生成物は解糖系の中間体
  11. α-D-グルコース6-リン酸

ラクターゼはLCT遺伝子にコードされている2。大多数の人では、ラクターゼ活性は離乳後に低下する3。ラクターゼ活性が持続する人の割合は、スウェーデン人とデンマーク人では90%を超え、中国人では約1%である3。ヨーロッパ人におけるラクターゼ活性の持続は、LCT −13910 C>T(rs4988235)による45。

消化されなかった乳糖は結腸に達し、そこで細菌により発酵されて、水素、二酸化炭素、メタン、短鎖脂肪酸を生じる4。

研究が示すこと

大規模な集団を追跡した研究における28件の解析のうち25件では、牛乳と骨折との関連は認められなかった6。

スウェーデンのコホート研究では、女性61,433人が平均20.1年間追跡された7。1日にコップ3杯以上の牛乳を飲む群と1杯未満の群を比べると、大腿骨近位部骨折の年齢標準化発生率は1000人年あたり4.2対3.1であった(調整ハザード比1.60、95%信頼区間1.39~1.84)7。死亡率は1000人年あたり17.7対10.7であった(1.93、1.80~2.06)7。

米国の3つのコホート研究では、成人217,755人が最長32年間追跡された8。乳製品の摂取量が最も多い群の、最も少ない群に対する死亡のハザード比は1.07(1.04~1.10)であった8。

同じ米国のコホート研究では、乳製品全体の摂取量と2型糖尿病との関連はみられなかった9。ヨーグルトでは、1日1食分あたりのハザード比が0.83(0.75~0.92)であった9。

rs4988235のラクターゼ活性持続型Tアレルは、生涯にわたる牛乳摂取量の遺伝的な操作変数であり、冠動脈疾患のオッズの低下と関連していた(オッズ比0.86、0.75~0.99、症例数22,233)10。

32件のコホート研究のメタアナリシスでは、乳製品の摂取量が1日400 g増えるごとに前立腺癌のリスクが上昇していた(相対リスク1.07、1.02~1.12)11。

加工

チーズへの加工、発酵、ラクターゼ処理によって、乳製品の乳糖含有量は低下する4。

チェダーチーズの乳糖含有量は100 gあたり0.16 gである1。ヨーグルトの乳糖は牛乳の約半分である4。乳糖消化不良のある人では、ヨーグルトに含まれる生きた乳酸菌が、そのヨーグルトの乳糖の消化を改善する14。ヒトを対象とした14件の研究のうち13件で、この効果が認められた14。