消化と吸収
消化によって、食物中の蛋白質はアミノ酸と、アミノ酸が2個または3個つながった短い鎖に分解され、これらが小腸で吸収される12。
膵臓は蛋白分解酵素を、不活性な前駆体であるチモーゲンとして分泌する1。中性アミノ酸輸送体B0AT1をコードするSLC6A19の変異は、ハートナップ病の原因となる3。
必須アミノ酸と非必須アミノ酸
蛋白質を構成する20種類のアミノ酸のうち9種類は体内で合成できないため、食物から摂取しなければならない1。
その9種類とは、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリンである1。
アミノ基転移とピリドキサールリン酸
ほとんどのアミノ酸では、分解に先立って、ビタミンB6の一種を必要とする酵素がアミノ基を別の分子に移す1。
アミノトランスフェラーゼはα-アミノ基を2-オキソグルタル酸に転移し、グルタミン酸と、元のアミノ酸に対応する2-オキソ酸を生成する1。これらの酵素の補酵素はピリドキサール5′-リン酸(PLP)である2。
グルタミン酸脱水素酵素
ミトコンドリアでは、一つの酵素が、グルタミン酸に集められたアミノ基をアンモニウムイオンとして遊離させる2。
ロイシンは、この酵素GLUD1をアロステリックに活性化することにより、β細胞からのインスリン分泌を促進する5。高インスリン血症・高アンモニア血症症候群の小児8人は、いずれもアロステリックドメインにGLUD1のヘテロ接合性バリアントをもっていた5。
尿素回路
肝臓は、脳に毒性を示すアンモニウムイオンを尿素に変換し、尿素は体外へ排泄される2。
- オルニチンシトルリンオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)カルバモイルリン酸マトリックスで起こる。カルバモイルリン酸は、N-アセチルグルタミン酸で活性化されるCPS1が生成する
- シトルリンアルギニノコハク酸アルギニノコハク酸合成酵素1(ASS1)アスパラギン酸, ATP細胞質ゾルで起こる。シトルリンはORNT1を介してマトリックスから出る。ATPはAMPと二リン酸になる
- アルギニノコハク酸アルギニンアルギニノコハク酸リアーゼ(ASL)フマル酸を放出する。フマル酸は尿素回路とクエン酸回路を結ぶ
- アルギニンオルニチンアルギナーゼ1(ARG1)H2O, Mn2+(サブユニットあたり2個)尿素を放出する。オルニチンはORNT1(SLC25A15)を介してマトリックスに戻る
先天性の尿素サイクル異常症は、少なくとも出生35,000人に1人から51,946人に1人の頻度で発生する6。安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、フェニル酪酸ナトリウムは、代替経路による窒素の排泄を可能にする6。
フェニルケトン尿症と新生児マススクリーニング
フェニルケトン尿症では、フェニルアラニンをチロシンに変換する酵素が欠損している7。
未治療の場合、蓄積したフェニルアラニンが永続的な脳障害を引き起こす7。世界全体の有病率は、出生23,930人に1人と推定されている8。新生児マススクリーニングでは、出生後24~72時間に採取した乾燥濾紙血中のフェニルアラニンを測定する7。治療では、フェニルアラニン制限食に、フェニルアラニンを含まない蛋白質補充食品を組み合わせる7。患者の25~50%は、合成テトラヒドロビオプテリンであるサプロプテリンに反応する7。アスパルテームは腸管内で加水分解されてフェニルアラニンを生じる9。アスパルテームの許容一日摂取量である40 mg/kg体重は、フェニルケトン尿症の人には適用されない9。妊娠中に母体の血中フェニルアラニン濃度が360 µmol/Lを超える状態が続くと、生まれた子の90%超に知的障害がみられる7。
炭素骨格:グルコースとケトン体
窒素を除いたアミノ酸の残りの部分は、グルコースやケトン体に変換されるか、エネルギー源として酸化される1。
ピルビン酸、2-オキソグルタル酸、スクシニルCoA、フマル酸、オキサロ酢酸のいずれかを生じる炭素骨格は、糖新生の基質となりうる1。哺乳類はアセチルCoAとアセトアセチルCoAからケトン体を合成するが、グルコースを正味で合成することはない1。純粋にケト原性であるアミノ酸は、ロイシンとリシンだけである1。
- ミトコンドリアのピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)ATP → ADP, HCO3−, ビオチンアセチルCoAがアロステリックに活性化する。グルコース1分子につきピルビン酸2分子が経路に入る
- ミトコンドリアのリンゴ酸脱水素酵素2(MDH2)NADH → NAD+生じたリンゴ酸は、次にミトコンドリア内膜を通過する
- 細胞質ゾルのリンゴ酸脱水素酵素1(MDH1)NAD+ → NADHGAPDHが用いる細胞質ゾルのNADHを供給する
- 細胞質ゾルのホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ1(PCK1)GTP → GDPCO2を放出する。ミトコンドリアではPCK2が同じ反応を触媒する
- エノラーゼ1(ENO1)H2O
- ホスホグリセリン酸ムターゼ1(PGAM1)
- ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)ATP → ADP
- グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)NADH → NAD+リン酸を放出する
- アルドラーゼB(ALDOB)ジヒドロキシアセトンリン酸DHAPは、もう1分子のトリオースからトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)によって生じる
- フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ1(FBP1)H2Oフルクトース2,6-ビスリン酸AMPリン酸を放出する。グルカゴンはフルクトース2,6-ビスリン酸を減少させる
- グルコース-6-リン酸イソメラーゼ(GPI)
- 小胞体のグルコース-6-ホスファターゼ(G6PC1)H2OSLC37A4が基質を小胞体内腔へ輸送する。リン酸を放出する
- 複数の反応段階マロニルCoACPT1Aを介するカルニチンシャトルで取り込まれ、次いでβ酸化を受ける
- アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ1(ACAT1)アセチルCoAミトコンドリアのチオラーゼ。2分子のアセチルCoAを縮合し、CoAを放出する
- ミトコンドリアのHMG-CoA合成酵素2(HMGCS2)アセチルCoA, H2O決定段階。CoAを放出する。欠損症では絶食時のケトン体生成が障害される
- HMG-CoAリアーゼ(HMGCL)アセチルCoAを放出する。アセト酢酸は自発的に脱炭酸されてアセトンになる
- 3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素1(BDH1)NADH → NAD+平衡に近い反応。生成物の比はミトコンドリアのNADH/NAD+比に従う